DCIとDisplay P3 |
先日も某所で若手からApple製品はDCIで表示してるんですよね?と聞かれた。
確かにね、最近もデバイスメーカーはどんどん新製品を出し、DCI表示って言ってるものもあるね。
WEBでもそんなことをよく見るけど、キャッチコピーや売り文句としてのインパクトはあるよね。
でもDCIで表示はしてない。
正確にはDCIで規格された定義の『色域』部分を目標として採用したと言うこと。
『Appleから始まる新しいカラースペース..』
こちらでもでも紹介したけど、長くて、くどくて、、斜め読みの人が多い。。(;^_^A アセアセ・・・すみません。
『Display P3』はAppleから定義された写真画像で使う、sRGBにとって代わる新しいカラースペース。当然画像データに使用するので、WEBブラウザ・アプリ、何よりデバイスのカラーマネジメントは必要。
現時点では、Win(モニターの色域含め)以外の新しいデバイスで「iPhone、iPad、Android(OS 8.0 Oreo)」はカラーマネジメントも対応しているので、ユーザー個人単位で考えれば、sRGBはもう必要ない人もいるでしょう。
*一部Androidデバイスは対象外の機種もあります。
おさらい。『DCI」は規格です。映画の規格です。
「DCI」はデジタルシネマの世界でハリウッドの映画スタジオが中心に作成している規格ですが、統一されているわけではなく、標準化をを行うための規格として定義されています。
”Digital Cinema Initiatives”と言う組織で作成され、規格はDCIが行っていますが、標準化作業は”SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)が行っています。
ColorNavigator7でもプリセットされていますが、、
DCI-P3の規格としては、細かくいろいろと決まりごとがあります。
色表現方法はRGB入力ではなく、CIE1931色座標のXYZで使用され、ガンマは2.6、駆動ビット数12ビット、白色点は6300K、輝度は48cdm2(14ft-L)を満たしていること、、などなど。。
デジタル写真画像データを扱うのに上記の設定では厳しいでしょ。映画を作るわけではないので。
Display P3は「DCI-P3の色域」をベースにICC規格に準じカラースペースとして作られました。ガンマは2.2、白色点は6500K。
それでも両者の色域はぴったり同じではありません。
白くなっている部分がDisplay P3で、色の着いたカラーガモットがDCIの色域です。
Display P3はDCIの色域をベースに作られたカラースペースですので、ほぼ同じような大きさになっています。
少し見辛いですが、全体の感じはこんな感じです。
ワイヤーフレームがDCIで、カラーガモットがDisplayP3
DisplayP3の方が少し広いですね。
同じように「DCIで表示」と言うのは、デバイスやモニターがその色域をカバーしていると言うことで、実際はデバイス毎に色再現域は異なります。
DCI表示を名乗るデバイスは当然ながら、DCIの色域をカバーします。実際はDisplay P3の色域を最低限カバーして、それよりも広い色域で表示しています。
AdobeRGBモニターだって、AdobeRGBをカバーしているだけですしね。
端的に「DCIで表示している」って言葉を乱用するのはいいですが、それによって中身の理解がズレていくのはあまり良い傾向とは思えません。