ColorNavigator 6の使い方(基本) *追記 |
sRGB作業向けにキャリブレーションする場合について追記しておきます。
*最近セミナーなどでお会いする方で、このブログ読んでColorEdgeを購入する方に数名出会いました。びっくりだし、、とても嬉しいですね。一方せっかくなのに割引のご案内が出来なくて残念に思いました。もし、このブログを読んで購入を検討させる方がいらしゃれば是非ご連絡下さい。割引のご案内をさせて頂きます。
未だに質問や使い方の確認などで問い合わせが入ります。
あらためて「書き直して」とまで言われてましたので、ちょっと加筆修正含めて書き直します。(画像は使い回しですが、、とりあえず。。時間が出来たら作り直します。)...(-。-;)
長くなりますが、必要な方はしっかり見直して下さい。
*Macで説明します。
まずアプリのインストールですが、「ColorNavigator 6」はインストールすると「アプリケーション」の中に入ります。
ソフトのアップデートはまめにチェックしましょう。
作業の説明を順を追ってしますが、プロが最低限おこなって頂きたい基準の調整目標を中心にお話します。
測定器(センサー)を用意しアプリを起動。
ソフトを起動すると次の画面が出ます。
OKを押して作業していきます。
ここで重要なポイントがあります。
環境設定のチェックを行なって下さい。
全部を気にする必要はありませんが、一番大事な部分が「環境設定」の中にある「測定器」の部分です。
この「測定値補正」の部分ですが、通常はデフォルトの「カラーマネジメント(推奨)」のままで良いとされています。
ここをクリックすると他にも「複数モニタマッチング」「補正なし」と出ます。
各メーカーとも今までにも何度も話して来ているのですが、決まった目標値で「i1」系と「ColorMunki」でキャリブレーションした場合、結果にズレが出ます。
初期生産の頃の「ColorMunki」ではグレーが緑かぶりしたように緑がういて見えます。それに対して「i1」系はグレーにかなり近いですが、見ようによってはマゼンタうきにも見えます。
事務所には複数台のColorEgdeがありますし、測色機も「i1」系、「ColorMunki」があります。事実検証のためさらにメーカーに借りたりもして複数台で検証を行ないました。メーカーも確認済みです。
今の所正確な答えは出ていません。大雑把にいえば個体差などとも言われていますが、i1 Profirerやモンキーソフト、NEC MultiSyncのSpectraViewでキャリブレーションしても「i1」系、「ColorMunki」の機種別の色ズレは同じ方向でズレます。いずれにせよ"どうしたって"かぶりの方向性は同じです。同値を目標値にしているので差はあっては困るのですが、現状は限界のようです。
さて、そこでEIZOから回答・提案を受けたのですが、「測定値補正」を「複数モニタマッチング」にすると言う方法です。
本来は精度の高い調整を行なうためにデフォルトは「カラーマネジメント(推奨)」になっています。難しい話ははしょりますが、こちらは『2度視野』計測を行ないます。
一方、「複数モニタマッチング」は名前の通り他のモニター(カラーエッジ)と色味を会わせる為の設定ですが、『10度視野』で調整を行ないます。アバウトに言えば視野角を広げるため測定値の幅(平均)を広げて調整すると考えれば良いと思います。
*キャリブレーションはモニターの状態はもちろんですが、センサーの性能や状態に大きく左右されます。通常は「測定値補正」は「カラーマネジメント(推奨)」のままが文字通り推奨です。
EIZO Technical Overview
これは文字通り複数のモニターの見栄を合わせる為の機能ですが、センサーの精度のバランスをとる為にも使えると言う事です。結果としては「複数モニタマッチング」で「i1」系、「ColorMunki」それぞれ測定すると両者の差はかなり収まって、それぞれ近いグレーに見えます。(比べると差は分かりますが)
なので(「ColorMunki」ユーザーが相談としてもやはり多いのですが)この「環境設定」の「測定器」の部分は「ColorMunki」ユーザーはとくに「複数モニタマッチング」をデフォルトにしてみて下さい。
*ちょうどこの話の後、EIZOもWEBなどで推奨していましたね。
加えて言うならモニターサイズも27インチからは少し大きめとも言えます。EIZOの説明にもあるように、デフォルトの環境設定は「複数モニタマッチング」にしておくといいと思います。
次に「環境設定」の「タイマー」ですが、デフォルトは「200時間」になっています。
モニターが新しければ1月を過ぎてもまず大丈夫でしょうが、経時変化、経年劣化はありますので、使い込んでいる方は年数が経っている方は2週間から1月以内でまめにキャリブレーションを行なった方がよいと思います。
CGには内蔵センサーが、CX、CSにはコレクションセンサーがあります。
まず、内蔵センサーはそれなりにしっかりと作られていますが、そうは言ってもフィルター式ですし、経年劣化も伴います。正直に言えば設置環境にもよりますが、外部フィルター式同様に1年から2年前後位がセンサーとして安心して使える期間だと思います。出来れば、しっかりとした他社測色機を使われた方が良いと思います。
コレクションセンサーは「測色機」ではありません。調整結果の白色点、輝度を記憶し、経時変化に対して合わせ込む微調整を行なうだけです。これも1年くらいは大丈夫だろうと言われてますが、絶対ではありません。気になる場合はやはりこまめにしっかりとキャリブレーションを行なった方が良いと思います。
何より質問自体がそうなのですが、「月一回」で行なわない(もしくはほとんどキャリブレーションをしない)から、いざ行なおうとすると手順、やり方を忘れてしまっていると言う事が非常に多いのです。
機械は人の望みと努力でどんどん便利になって行きますが、その分人は機械任せで考える事をしなくなります。(堕落します。(笑)...(^▽^;)
呆け防止の為にもこまめに調整するのも良いのではないでしょうか。。
話を戻します。
環境設定の確認が終わったら調整を行ないます。(一度設定すれば、変更するまで変わりませんので、設定は最初だけですね。)
WEB向けコンテンツ作成用「80cd 6500K ガンマ2.2」
写真用「80cd 5500K ガンマ2.2」
印刷向け「80cd 5000K ガンマ2.2」
の3種類がデフォルトで用意されています。
「これが正しいの?」と言うのは止めましょう。あくまで基準です。とくに写真用はなぜ5500K?など。。フィルムが5500Kだったからです。(EIZOの回答)
印刷・プリント、、紙白まで考えたマッチングの話は別の考え方・調整になります。(紙白マッチングや白色点の移動方等の説明は今回書きません。)
「明るさは80cd?」これも環境光や色見台の明るさ等、諸条件、考え方はいろいろありますが、通常は80~100cd(いっても120cd)で良いと思います。光沢紙などで白の部分の範囲やコントラストによっては100cd~120cdになる場合もあります。
iMacや通常の買った状態のままのモニターは明るすぎます。
目標値を選んだら、右上の調整…ボタンから調整を進めて行きます。
では、デフォルト設定以外に任意で調整する場合の手順を見ましょう。
まず最初の色再現域は「モニターネイティブ(推奨)」のままでいいです。
*AdobeRGBモニターで、作業がAdobeRGBの場合は「モニターネイティブ(推奨)」でいいと思います。sRGBでの作業・納品の場合は6500k設定だけでなく、この色再現域の設定もここで「sRGB」を選択してください。色温度は6500k、WEB用など輝度は100cd〜120cdと明るめの設定でもいい場合もあります。それ以外は通常設定のままでいいと思います。
次の輝度、白色点ですが、輝度は上記に書いたようにデフォルトの80cdのままか、任意で100cd(120cd)まで上げても良いと思います。
白色点は広告、雑誌、(写真含め)それに絡む流通・運用する為のデータの場合は「業界基準」とされている5000Kで調整しましょう。
黒レベルはデフォルトのままでいいです。次へ進みます。
諧調特性、ガンマはデフォルト、2.2のままでいいです。
調整の精度に関してはデフォルトの『標準』でいいと思います。
『グレイバランス重視』は中間調のグレイの色度を白色点と同じになるように調整します。これはコントラストが低くなる場合があります。
『コントラスト重視』はコントラストがもっとも高くなるように調整します。
ColorNavigator 5までデフォルトは『グレイバランス重視』でした。
「ColorNavigator 6」ではちょうど良いバランスの『標準』が用意されました。
「これはグレイバランスを重視したキャリブレーションを行ないながら低諧調時はコントラスト比を維持するバランスをとった調整を行ないます。これによりターゲット値により近い表示色に調整できます。」
とあります。『標準』のままで良いでしょう。
以上で次へ。
調整目標名を設定します。
上の画像は印刷用と同じ数値ですが、100cdや個人的に目標値を決めた場合はその数値になっています。さらに調整日などで名前を付けても後で分かりやすいかもしれません。
ここで、接続している測色機を確認します。表示されていない場合は内蔵か外部かで測色機を選びます。
調整を開始します。
アニメーションの動きに意味はないです。
調整が終われば保存・完了画面になりますが、ここからがポイントです。
*大半の方がここで終了しているようですが、画面に見える「検証・・・」を必ず行ないましょう!
これが非常に重要で、ある意味『ColorEgde』の売りの部分でもあります。
検証終了後に検証結果の画面になります。
赤枠で囲んだ「ΔEab」の部分を見れば良いです。
「ColorNavigator 5」では、このような表示でした。
専門家ではないし、ここでΔEについてあれこれも大変なので、おおまかに言えば、ある色とある色の見え方の差を数値化した物です。
フィルムやプリントはもちろんですが、色紙等、物質として見て触れる物はともかくデジタル画像のようにモニター上で見る「色」はどう正しいのか漠然としていますよね。
モニターは目標された通りに色を表示しているのか?
『ColorEdge』の「ColorNavigator」の検証機能は「自己診断・警告機能」です。
自分(モニター)が中(プログラミング)で扱う色の目標数値にたいしてどの程度正確なのかを正直に告白してくれます。(笑)
*Desktop Color Handbook抜粋 ΔEabのさわり
「CIEのLABやLUVのような比較的知覚的に均等な色空間を用いて、2つの色がお互いにどれくらい近いかを計算する事が出来ます。
CIE LABの場合はΔEabで表します。
ΔEab=0.5 人間の眼ではほとんど差を識別出来ない。
ΔEab=1.0 人間の眼で眼でごくわずかな違いを識別出来る
ΔEab=2.0 色の上にもう一方を重ねてみた場合、明らかな色差がわかる。ただし小さな断片のみで見るならば、同じ色に見える
といった感じです。
一般的な印刷の世界ではΔEab=6前後は許容範囲と言われています。ただしΔEab=6前後というのは現状は機器の性能から見て差が大きいので、印刷関係者には色差をΔEab=3前後に納める努力を希望したいところだそうです。
話戻って、上の画像「ColorNavigator 5」では一部数値の背景が黄色になっています。
「4.00」までは色の差(ズレ)がデータ的に問題ないという事のようです。「4.00」を超すと背景が黄色になり色が微妙にズレ始め、「10.00」を超すと(背景は赤色になる)あきらかに色がズレ、モニターではその「色」辺りが諧調も破綻します。
この背景の黄色と赤色は「警告表示」になります。画像では赤色はありませんが。
ずいぶん昔になりますが、フィルター式の測定器「i1 Display2」が劣化していて、その測定器でキャリブレーションすると、画面が真っ赤になった事があります。当然出来たプロファイルも赤系のパッチは背景が赤色の警告表示でした。
モニターがトーンジャンプを起こしていたら画像データを正しく見る事は出来ませんよね。
『ColorEdge』の色が正しいのか・・は別問題です。
ただ「ColorNavigator」の検証のモニター自身の警告(「自己診断・報告」)機能は正しいです。
赤になったらトーンジャンプをしっかりと起こしていますので。(;^_^A アセアセ・・・
こんなに正直な機能は他にはありません。
ここで問題が一つ。
「ColorNavigator 6」では警告表示(黄色、赤色)がなくなってしまいました!
上の添付した画像ではオーバーしているところはありませんが。。
「ColorNavigator 5」と同じで見る所は赤で囲んだ「ΔEab」のところで良いです。ΔE2000等他の基準値における色差も表示するようになったせいで、背景の色の警告表示は出来なくなりました。
なので「ColorNavigator 6」では数値で覚えましょう。「4.00」をこしていたらやや表示色はズレ始めている。キャリブレーションやり直してみて。「10.00」を超したら危険かも。。
警告表示がつけばモニターがおかしいと言うことになりますが、すぐさまその判断は危険です。
この場合の警告表示(プロファイル)には大きく4種類の要因があります。
一つ目は当然、モニターの経年劣化、、ぼちぼち寿命を迎えつつあります。
二つ目はモニターを起動し、安定していないすぐさまのキャリブレーション。今回の画像がそうです。
三つ目は測定器の不調。(フィルター式等ではフィルターの劣化)
四つ目は測定時の何らかの不具合。
もちろん一つ目から三つ目のどれにも当てはまらず数値も「4.15」など僅かな差の黄色の警告等は四つ目の微妙な不具合や調子の問題でキャリブレーションをやり直せば消える事もあります。(ただ数値は大きく変動する事はないはずです。)
何度やっても特定の色のパッチ部分で黄色い警告表示が出る場合はそのモニターはその色がズレ始めている証拠になります。
ユーザーの方は使い込んでいる『ColorEdge』がどのくらい色ズレをおこしているのか判断が出来ます。もちろん黄色になったからと言ってその部分にたいしての修理は出来ません。あきらめながら理解・我慢して使う事になりますが。。
では、この考え方(機能)から他のモニターを考えてみましょう。ハードはもちろんですが、ソフトキャリブレーションの場合でも、当然キャリブレーションが終わったら画面がきれいになってプロファイルが作られます。しかしふと考える。そのモニターは目標(定義)とされている色情報値と、はたしてどのくらい差が出ているのでしょうか?モニターによってはキャリブレーションした結果トーンジャンプを起こす事もありますよね。
理想は当然ながら色差はΔEab「0.00」ですが、新品の『ColorEdge』でさえ、そうはなりません。それくらい理論と現実は違うのです。
奇麗な夕焼けの写真を好みでもっと味付けをしたい!見えている色は気に入らないから色温度を動かす。しかし、そのモニターの色が悪いだけで実際の色情報数値は好みの色だったのでは?
その為にはキャリブレーションは必須です。しかし、キャリブレーションさえそのモニターの色の差はどのくらい?
これが『ColorEdge』の良さの一つだと思っています。
検証が終わったら「完了」で終了です。
モニターのMODEは[ CAL ]になっていると思います。よほどの目的が無い限りColorEdgeはMODEを変更する必要はないでしょう。明るさ色見、個別に調整してプロファイルを作成しましょう。
ハードキャリブレーションとソフトキャリブレーションの違いは改めて理解し直す必要は常にあると思います。
キャリブレーションは「RGBのバランスを整える事」とほとんどの方が理解しているようです。しかしそれだけではダメです。
デジタル画像は色の情報数値の集合体です。見た目の「きれい」だとか「美しい」だとか「アートだ」などの感情部分は後付けの話で、大事なのはモニターは情報数値通りに色を理論色・理想色として再現しているかどうかです。
話を少し戻しますが、調整後グレーがグレーでなく、もしくは目的の色がある場合は「手動調整」を行ないます。
他にもいろんな機能がありますが、通常のカメラマンが仕事で普通に使うにはそんなには必要ないでしょう。各々でいろいろ使い込んで下さい。
Dockには「ColorNavigator Agent」機能があります。
以上「ColorNavigator 」の使い方でした。