今年一発目はこれから!
本当は昨年末までに書こうとネタは書きかけていたのですが、肝心の部分の確認がどうしても取れず、、
結論としては『仕組みと設定は定かではない』を前提として、とりあえずはそれぞれのメーカーを信頼すると言うことで検証した結果として書きます。
昨年秋に発売されたCalibrite社の新しいキャリブレーションセンサー。
製品の入れ替えかと思っていましたが、Caliburite社のサイトではまだ旧タイプも普通にあるし、各販売店、ネットでも両方買えます。
ただセミナーで質問を受けましが、旧タイプの「ColorCheckerシリーズ」が必ずしも値段が下がっている訳ではありませんし、どちらを買えばいいのかと言われると、個人的には新型を購入した方が良いと思います。
この新型で気になっているのは、
1.MシリーズのMacBookPro XDRタイプのキャリブレーション対応していること
2.ColorEdgeはまだ製品の対応をしていませんが、使えるのか?
の2点ですね。
まずMシリーズのMacBookPro XDRタイプについて
そもそもXDRディスプレイのMacBookProに関しては、OS側のモニター表示の部分に変更が行われました。
従来までにあった「プロファイル」がなくなり、『プリセット』になりました。
今更ですが、これには業界もザワつきましたよね。キャリブレーション出来ないiPhoneやiPadに続き、キャリブレーションしなくてもAppleが用意した『設定(プリセット)』を必要に応じて使い分ければいいと言うことらしい。
確かに一般の方やアマチュアの方、カラーマネジメントやそれら詳しくない方には、ただただ便利なのかも知れない。
また、遥か昔にsRGB帝国などと言われていたようにAppleのデフォルトの色味でそのまま使用すればデバイス間の見え方はほぼ同じであろうと言う考え方も一部では定着しつつあります。
しかし、仕事で流通・運用するデータはそれでは絶対にだめです。とくに出力を前提としたデータの運用では大変なことになります。
何よりそれ以前に、普通に考えればモニターは使っていれば経年劣化(経時変化)で色は確実に悪くなります。経験上、ノートタイプや一体型では、ハードに使うとすぐにディスプレイは劣化し始めます。
この辺りを考えているとはとても思えません。何年どれだけ酷使してもディスプレイは劣化しないし、色味も変わらないと思っているのだろうか。
昨年秋くらいには、WINノートPCでも同様の仕組みのものも出てきましたよね。
Appleは、昔ながらのユーザーの感覚操作で手動による微調整と、今回は業務用の超高価なセンサーであればキャリブレーションは可能だと言ってますが、そんな測定器は入手も困難。
で、問題は「従来通りキャリブレーションが出来るのか?」ですよね。
従来の2社のセンサー、ソフトウエアではXDRディスプレイのMacBookProのキャリブレーションは出来ない。などとも言われてますし、キャリブレーションしても「プロファイル」として表示されないので、正確に反映されているのか分かりません。何よりHDRタイプにセンサーが対応しているのか?この辺りも気になります。
Calibrite社の新しいセンサーは簡単に言えば「高輝度のHDR対応」「XDR MacBookPro対応」をとくに謳っています。
最新のセンサーも今まで通り3機種出ています。ColorEdgeの事も考えると購入対象は上位機種の2つです。
「Display Plus HL」は10,000nitまで、「Display Pro HL」は3,000nitまでのモニターに対応します。
なので、XDRディスプレイのMacBookProユーザーは新型のセンサーに買い替えた方が良いようです。
昨年秋にようやく検証するタイミングがあったので、とくに気になったプロファイルの確認について書いておきます。
センサーは「Display Pro HL」。MacBookProは、M2のXDRディスプレイ。
ソフトウエアはこれもアップデートされた最新版の『calibrite PROFILER』を使用します。
今回は、デフォルトになっている『プリセット[Apple XDR Display(P3-1600nit)]』に対して変更をかけます。
設定は従来通りで、ディスプレイとタイプ、白色点、輝度、必要な方はそれ以外の細かな選択を行いキャリブレーションを行います。
モニタータイプ名が「Apple Display」になっていますね。発光タイプは右側の「ヘルプ」を参照して頂ければ分かりますが、XDRの場合は「Mini LED」を選択します。sRGBでの正確な表示を必要とする場合はモニターがDisplayP3並の色域であっても、そこを減らして『sRGB』の再現域まで落とす必要があります。この場合は『PFS 蛍光体』を選択してキャリブレーションを行います。
キャリブレーションが終わって、プロファイルを保存しようとすると最初だけ「Emailアドレス」の登録を求められます。ここを記入しないと「プロファイルの保存」が出来ません。
さて、気になるのはキャリブレーションで作成されたプロファイルの行方ですよね。見た目はキャリブレーションの調整項目で設定した表示状態に見えます。再起動しても表示はそのままです。
では、プリセットになっているディスプレイの設定はどうなのかと言うと、
設定欄は何も変わっていません。
ここが、キャリブレーション出来ていないのでは?など不安に遭ってしまう部分だとも思います。
では実際はどうなのか?見た目は変わってますし、確認する方法を紹介しておきます。
確認は『ColorSyncユーティリティ』を見ます。
「装置」の項目にある『ディスプレイ』を確認します。「デフォルトのカラーLCD」を表示すると右側に実際のプロファイルが表示されます。
名称は「カラーLCD」となっていますが、下側の『現在のプロファイル』を見ると、先ほどキャリブレーションして保存したプロファイル名が表示されています。
なので、実際の見た目通り、表示はキャリブレーションで設定した状態になっていると言えます。
それぞれのプロファイルに保存されている場所のパスと開くボタンでそのプロファイルがファインダーで表示されます。
ここで、元の「出荷時」の状態に戻したい場合は、『現在のプロファイル』から「出荷時の設定にする」を押す事で元に戻ります。
MシリーズのMacBookPro XDRタイプを使っているユーザーは最新の「Display Pro(Plus) HL」を使ってキャリブレーションすることをお勧めします。
もう一つ、まだ正式に対応を謳っていないColoeEdge用のソフト「ColorNavigator7」ですが、こちらも試しました。
とくにエラーが出る事もなく、従来の「i1 Display」「ColorChecker Display」シリーズとして認識されます。高輝度対応としてのバージョンアップですが、それ以外は大きく変更がないのでしょうね。
キャリブレーションも問題なく進みます。
とくに問題があるようには感じない結果に見えます。
まぁそのうち正式対応のアップデートが出るのではないかと思いますが、とりあえずMシリーズのMacBookPro XDRタイプのユーザーで、ColorEdgeを使っている方も大丈夫だと思います。
キャリブレーションに不安な方は、最新版の「Display Pro(Plus) HL」をお勧めします。
補足
デフォルトのApple XDR Display(P3-1600nit)のプリセットの表示はかなり明るい。もちろんくっきり綺麗には見えます。
使用用途として用意されているWEB用やプリント用のプリセットに切り替えると、輝度もあきらかに暗くなります。
SNSでもどの設定でキャリブレーションしたのか分かりませんが、キャリブレーションするとすごく暗くなると言うのを見かけました。もしかするとデフォルト状態がやたら明るいのに、それと比べてと言う事なのかな?と感じましたが、iPhoneやiPad含めてHDRモニタなど高輝度がデフォルトに感じてしまっているならその解釈は良くありません。
ちなみに、XDR Displayの輝度スライダーをマックスにした状態の輝度は[386cd]でした。
いずれにせよ、デフォルトは明るさマックスです。この状態を「通常」とするのは良くありません。
解決しなかったのは、Appleがデフォルトでプリセットに用意している「Design & Print(P3-D50)」と「Internet & Web(sRGB)」の輝度設定値。
確かにマックスのデフォルトの明るさに比べると明らかに暗くなります。しかし、この明るさの設定値が分かりません。WEBは120cdだと思いますが、印刷用は?
これはかなり調べたし、Appleに問い合わせをかけました。この記事を書くまでに結論が出ればいいなと思ったのですが、残念ながらこの数値に関しては分からないと言う結論になりました。
MacBookPro XDRタイプのユーザーは、使用用途で再度キャリブレーションするか、作成したプロファイルをパスから選択して切り替えて使うかをするしかありません。